見た風景の感動を家に帰ってからも蘇らせる。風景を撮りたいと思われる方なら、誰もがそう思っていることでしょう。少しでも参考になればと、ふうまの自己満足的風景写真撮影アドバイスを、ちょこっとご紹介します。。(^^ゞ

手ブレをなくす
  対処法
  ど〜〜しても手持ち撮影したい人へ
  コンパクトカメラでの注意点


光加減

  感じたままを撮るのは難しい
  ポジフィルムとネガフィルム
  太陽の光
  光との対話


天候と季節
  季節感
  被写体に似合う天候
  被写体探し
時間帯
  ドラマチックな時間
  夜明け前と日没後
  日出と日没
  早朝と夕刻

縦構図と横構図
  縦構図
  横構図

基本的な被写体配置(構図)
  黄金分割
  横の線
  斜めの線
  点
  時には大胆に
極意!!
  奥行きを出す
  余分なものは極力写さない!
  露出補正と適正露出
  適正は個性の反映
  飽くなき探求心


もっと大切な事
  もっと大切なこと
  もっともっと大切なこと

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手ブレをなくす
ぼやけた写真・・ 拡大して、よ〜っく見てみると・・。
家に帰って現像・プリントした写真がなぜかぼやけている。。その原因のほとんどは「手ブレ」によるものだと思います。
暗いところで光量不足によりシャッタースピードが遅くなったときや、体の揺れ、シャッターを押す力が強すぎるなどなど、「手ブレ」の起こる原因はたくさんあります。

対処法
最も手っ取り早く最も確実な方法は、重くても三脚を持っていくことです。最近はコンパクトでリュックに入るくらいの小さなものもあります。
それから山歩き用のストックでグリップ部分がカメラと同じサイズのネジ切りをしているものも出ていますし、実は傘の先のネジもカメラと同じサイズなのです。急場しのぎにそれを一脚がわりに使うのも手ですね。
高感度フィルムを使うのも、賢い手段だと思います。最近のISO400、800のフィルムは技術の進歩によって色相再現、粒子性にも優れたものが多く、大伸ばししないのであれば、十分すぎるほど、きれいに写ります。

ど〜〜しても手持ち撮影したい人へ
手持ちのレンズ焦点距離の限界は120mm前後だと言われているそうです。まずはその焦点距離以下で撮影することをお勧めします。
手持ち撮影なら高感度フィルムを使い、しっかり脇を締めて足を広げ(揺れの激しい電車で吊り革を持ったときのように)、安定した姿勢で撮ればブレは極力防げるでしょう。手持ち撮影の鉄則はカメラの3点保持なのです。両脇を締めてカメラを額に押さえつけて固定すればかなりがっしりとしたスタンスになり、慣れた人なら1/15秒程度までならブレずに撮影できるでしょう。
カメラを建物や柱、樹などに押さえつけて体の揺れが伝わりにくくしたり、岩や階段などにカメラを置いてしまう方法もある程度の効果が期待できます。壁に寄りかかりカメラを壁と額(ひたい)に押さえつけることで100mmレンズで1/2秒・・なんてことも慣れると出来そうです。また、ソフトフィルターを使ったり、多重露光したり、広角レンズを使用することでブレを目立たなくするちょっと卑怯な裏技もあります。(笑)
・・そしてさらにもうひとつの究極の方法が。
F値の小さい明るいレンズを手に入れることです。当然ながら明るいレンズを絞り開放で使えばシャッタースピードも稼げます。しかし、人間の欲は限りないもの・・物欲の渦に飲み込まれないようお気をつけくださいね。(笑)

あ、そうそう、シャッターを押す時、指の先で押していませんか?これは結構押した時のボディへの衝撃が強く、ブレやすいです。慣れないと難しいですが、指の腹でやわらかく押すようにすればショックも少なくて済みます。
コンパクトカメラでの注意点

小さくてすぐに取り出せるコンパクトカメラ。その軽さとレンズの暗さゆえに手ブレは一眼レフよりも起こりやすいのです。風景など、細部まできっちりと写したい時には面倒でも三脚を必ず使いましょう。それから、フィルムはISO400より高感度のものを使うようにすれば、手ブレは抑えられます。
コンパクトカメラはレリーズを使用出来ないものがほとんどで、カメラ本体に付いているシャッターボタンを押さなければシャッターを切ることが出来ません。カメラが小さく軽いので、シャッターを押した衝撃が伝わりやすく、これが手ブレの大きな原因として上がってきます。僕もとあるメーカーの足が伸縮するコンパクトな三脚をリュックに常備してよく使っていますが、それでもシャッターを手押しで撮影した写真はプリントやネガをよ〜く見るとブレていることが多いです。ここ一番の撮影は三脚とセルフタイマーを併用で撮影することで、ISO100でも手ブレは防げます。
この方法ならスローシャッターの撮影も可能です。シャッタースピード優先モードの付いているカメラなら、シャッタースピードを1/2秒以上にすることで、綺麗に流れる滝になります。あるいは電子制御のシャッタースピードがスローシャッター対応のカメラ(説明書を参照ください)であれば、風景撮影のモードにして、ピントを被写体に合わせれば、同じような撮影が可能です。

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光加減
スポット光は
メインの被写体を
浮かび上がらせる
撮影地:大台ケ原
感じたままを撮るのは難しい
浮き上がらせたい、あるいは強調させたい被写体を色彩的・視覚的に引き立たせるポイントは、この光加減にあると言えます。しかし、見たままあるいは感じたままをカメラで撮るということはとても難しいことなのです。なぜ難しいか、それはカメラの露出計が勝手にフィルムに写す明るさを決定してしまうからなのです。どういう場合に暗くなり、どういう場合に明るく写るか、まずはこの露出計のクセを覚えないといけません。

ポジフィルムとネガフィルム
そこでまずはポジフィルム(リバーサルフィルム)のご使用をお薦めします。
ネガフィルムは再現できる明るさの幅が広く、プリントする時の写真店での操作で明るくも暗くも出来ます。ですから露出にはあまりシビアにならなくても大丈夫なのです。しかし、露出の決定がカメラ任せで簡単だということは、詰まるところ写真屋さんに頼まないと自分の描いたイメージ通りの明るさにはならないということ。でも自分の映像イメージを人に言葉で伝えることは、本当に難しいことです。こういったことから、ネガフィルムは任意に表現できる幅が狭いフィルムであるともいえると思います。
ポジフィルムはネガよりも明るさにはとてもシビアで、ちょっとの露出差で色鮮やかさや明るさが違って写ります。一眼レフカメラやコンパクトカメラでポジフィルム使用、あるいはデジタルカメラ、いずれにしても露出補正機能の付いたカメラであれば、測光方式を変え、測光する場所を変え、露出補正値を変え・・撮影時にほんの少しの露出操作をすることで、任意に様々な表現が可能になります。

まだ日の当たらない時間の谷間
景色はコントラスト低く青く写る
撮影地:上高地(9月)
絞りの羽の数と絞り値で
太陽の光芒の数が変化する
撮影地:鷲ヶ峰コスモスパーク
木漏れ日をボカすと
レンズの絞りの形のボケになり
焦点距離によって大きさが変わる
撮影地:美里町(3月)
昼間の順光はPLの使用で
被写体の彩度が高くなって
空は色鮮やかな青に写る
撮影地:高見山(12月)
太陽の光
風景写真の光加減は太陽の向きによって左右されます。
完全逆光で撮る場合、ハレ切りといって、太陽光が直接入り込まないようにしないと全体的にボーっとした写真になってしまうこともあります。しかし、ハレーションはうまく逆手に撮る事で、作品にワンポイントをつけることも出来ますので面白いです。
昼間の順光は被写体の色を忠実に見せてくれますが、全体的に影などのメリハリがなく、のっぺらとした写真に仕上がってしまいます。そういうときは、CPL(円偏光)フィルターで水面や大気の反射を抑えると、さらに力強く色鮮やかな写真にできることもあります。CPLフィルターは回転させることで被写体の反射光や大気中の乱光を除去してくれるフィルターですが、被写体の色鮮やかさにもとても影響しますので風景写真撮影には必需品と言っても過言ではありません。金属の反射は取ることが出来ません。また回転具合や被写体への角度によっても効果の度合いが変わりますので、実際に調整して慣れていってください。ただし効かせ過ぎはギンギンにど派手で不自然な色合いになってしまうことが多いので注意です。
スポット光はとてもドラマチックに写ります。少しのマイナス補正と併用し、バックを暗くすれば、くっきりと被写体を浮かびあがらせてくれます。

光との対話
美しい日本の風景には光が満ち溢れています。その風景を切り取る作業が風景写真撮影です。だから僕は写真撮影とは光との対話なのだと思います。その撮影場所で自分の足で可能な限りぐるぐると歩いて、いろんなアングルからファインダーを覗いてみて、まずは素晴らしい光を見つけましょう。そして測光方式、測光する場所、露出補正、明るさ・・すべてを考慮して露出を決定して撮った写真が、あなたの描いたイメージに近づくよういろいろと工夫してみてくださいね。
この露出や露出補正は頭に描いたイメージの表現に深く関わってきます。後ほどまた触れてみたいと思います。
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天候と季節
晴れた春の日
撮影地:緑花センター
曇り時々雨の秋の日
撮影地:高野山(10月)
雪の降る冬の日
撮影地:高野山
季節感
常夏の赤道直下や極寒の両極とは違い、日本には四季があり、その四季の素晴らしい移り変わりを楽しむすべのひとつがこの風景写真撮影だと僕は思います。そして季節にはその時期独特の被写体があります。風景を撮影するなら、この季節感はとても大切ですね。

被写体に似合う天候
天気によって光加減も変わってきます。晴れた日は光線が強く、スッキリとした青空が似合います。色もビビッドで鮮やかになります。曇り、雨、雪の日は柔らかい光になり、しっとりとした落ち着いた色合いに写ってくれます。
その被写体に似合う天候状況で撮影すると、とても雰囲気が出ます。
例えば日本的な風景の中の紅葉なら、ビビッドな色鮮やかさよりしっとりと落ち着いたイメージですし、菜の花を撮るなら春らしく淡い青空で撮影したいです。修行僧の修行の辛さを表現したいなら、やはり寒さ厳しい雪の降る冬が似合います。
いろいろな被写体をいろいろな状況で撮って、それに似合う雰囲気を探し出してみてくださいね。

新緑の時期
撮影地:天川村地内
紅葉の時期
撮影地:天川村地内
被写体探し
同じ撮影地でも天候や季節によって雰囲気が違ってきます。
山や森の姿は四季折々の特徴ある色合いがとても綺麗です。同じ山とは思えないほど、春は新緑の萌え上がる緑、秋は赤や黄色の暖色の世界に染まり、その容姿を変えていきます。
もしもあなたが今、季節の被写体にはどういうものがあるのだろう?・・などとお悩みのようでしたら、自然が豊富な場所を見つけ、同じ場所に一年間足繁く通ってみることをお薦めします。自然は見るたびにその姿を変え、きっとあなたに日本の四季の移り変わりの素晴らしさや、何物にも変えがたい尊き感動を教えてくれることでしょう。そして自然に対しての興味が深くなるとともに自然へのいとおしみが深くなり、おのずと足元や頭上の小さな命にも目を傾け、気づかないうちに被写体探しに困ることのない「季節感」を手に入れることでしょう。

ただ〜し!ここに書いたような固定観念にいつまでも捕われていては進歩は望めません。あなたの個性的な視点を磨くべきポイントだと思いますので、見たことのない状況を発見する目を養ってみてください。
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時間帯
日の出約30分前
撮影地:護摩壇山(11月)
日没後約30分
撮影地:龍神村(7月)
日の出
撮影地:煙樹ヶ浜(3月)
日没寸前
撮影地:護摩壇山(9月)
日の出約30分後
撮影地:桃山町(9月)
日没約30分前
撮影地:鷲ヶ峰コスモスパーク
ドラマチックな時間
風景写真を撮る時間帯としては、夜明け前〜午前中なるべく早い時間の斜光や、夕方の日が沈む寸前くらいがもっともドラマチックに風景を撮ることができると思います。
PENTAX ESPIO928使用
−0.5補正 プロビア
撮影地:生石高原(10月)

夜明け前と日没後

いわゆるまどろみの時間帯はバイオレットのグラデーションが美しい空に被写体がシルエットに浮かび上がり、とてもロマンティックで幻想的です。露出は多分割測光でも中央重点測光でも、露出補正なしでだいたい同じ結果が得られると思います。しかし、グラデーションの色合いが刻々と変わっていき、タイミングを捉えるのは結構難しいものです。数分刻みでシャッターを押し、数カットおさえておいて、次回の撮影時のタイミングを見計らうといいと思います。

日出と日没
地平線や水平線、山並みのすぐ上に太陽が写り神秘的に輝きます。焦点距離の比較的長いレンズなら、太陽の入れ具合と露出補正で全体的に真っ赤に染まり綺麗です。太陽を入れた完全逆光のフレーミングの場合、アクセントになる被写体の色は完全に飛んでしまいます。フィルターは付けていても無意味で、ゴーストを増やしてしまう結果になりますので外しておきましょう。また、日の出や日没の太陽光に照らされた被写体は赤みを帯びて暖色に色づき、暖かいイメージの写真に仕上がることでしょう。

早朝と夕刻

早朝は朝霧や朝露が低い太陽光に輝き、清々しい空気感が感じられる写真が撮れることでしょう。早起きは3文の得とはよく言ったものですね。夕刻は明るいうちに撮影の準備をすることが出来ますので、最も瞬間を狙える確立の高い時間帯です。車で行ける範囲なら構いませんが、山岳での行動は暗い夜道を歩いての転倒・滑落事故を避けるために遅くても15時までには下山もしくは山小屋などに到着し、それ以降の行動は避けてください。

それ以外の時間帯でも、被写体を見上げて逆光で撮るなど工夫してみると、感動の蘇る写真ができることでしょう。


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縦構図と横構図
MINOLTA Capios25使用
FujiFilm SUPER400
撮影地:和佐又山(6月)
■縦構図
被写体の高さや奥行きを強調させたいときに使います。比較的配置にうるさくないように感じる構図で、面倒くさがりの僕は結構多用しています。大木を見上げたときの高さの表現や、近景と遠景をすべて画面に収めてしまい、距離感を出したいとき、僕はよくカメラを縦にしています。(^^ゞ
注意点として、斜めに傾いて写ってしまうことが多いので、地上となるべく垂直になるように心がけます。人造物を写すときや、山の斜面を写したいときなど、垂直がとりにくいときは、僕は三脚はもちろん、シビアに「水準器」を使います。
MINOLTA Capios25使用
FujiFilm SUPER400
撮影地:和佐又山(6月)
■横構図
被写体の広がり感や安定感を強調したいときによく使われます。オーソドックスでありながら、それゆえに被写体の配置が難しくて、頭を悩ませることの多い構図ですね〜。(^^ゞ
木の枝の広がりや、高原の広大さ、山のどっしり感など、表現の仕方は様々ですが、縦構図よりものっぺらーっとしやすく、奥行きを出すことに注意が必要で、撮影ポジションを探すのに苦労してます。。でも、うまく写せたときの爽快感と出来栄えはひとしおです。
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基本的な被写体配置(構図)
黄金分割
プロカメラマンの写真など、誰が見てもきれいだな。と思える写真には、被写体の配置などにある程度の法則性がみられます。これが雑誌や、写真のレクチャー本に、必ずといっていいほど紹介されている、「黄金分割」というものです。
風景を見て、これはきれいだ!と思う被写体を、この線、あるいは点に沿わせるように心がけて撮ると、簡単に、驚くほどまとまりのある風景写真が出来上がることでしょう。

でも、多用は禁物!僕の写真のように、マンネリ化してしまう恐れがあります。参考程度に試してみてくださいね。(^^ゞ
詰まるところ、とっさに撮れる感性をもった、個性溢れる写真が一番魅力的なのですから・・。
Kodak DC215ZOOM
撮影地:上高地(9月)
横の線
撮影紀行のページ、上高地で撮った大正池の水に映った林。
手前の水面を下から1/3の「横線」の位置にもってきました。これだけでも多少まとまりが出ますね。(^-^)
この水面が画面の真中に来ると、画面が2つに割れてしまって、落ち着かない写真になっていたでしょう。
でも、この水面が波のない鏡のような水面であれば、ちょうど真中に水面の境目を持ってくると、とてもおもしろい構図になります。(シンメトリーといいます。)

PENTAX MZ-3+FA MACRO 100mmF2.8
中央重点測光 補正なし
PROVIA+PLフィルター
撮影地:美ヶ原高原(7月)
斜めの線
美ヶ原に行ったとき、登山道脇に咲いていたミネウスユキソウの群生。
これは黄金分割の斜めの線をめいっぱい使ったもの。
左下から右上にかけての「斜めの線」で、横の広がりを表現して、右下から左上にかけての「斜めの線」で奥行きを表現した、なかなかめぐり合えない貴重な状況でした。
PENTAX MZ-3+F35-80mmF3.5-5.6
絞り優先AE F11 多分割測光 補正なし
FujiFilm REALA100
撮影地:高見山(1月)

台高山系・高見山に霧氷を撮りに行ったときに登山道途中より日の出を写したもの。
太陽の位置を左上の「点」のところに持ってきました。
真中に太陽を持ってくると、「日の丸構図」といって、なんともしまりのない、ちょっと残念な結果になってしまうでしょう。
この「日の丸構図」、結構面白いもので、たま〜に、驚くほどすばらしい構図に変化してくれることもあります。いろいろ被写体を変えて試してみてくださいね。(^-^)
PENTAX MZ-3+SIGMA 28-70mmF2.8-4.0 UC
絞り優先AE F16 中央重点測光 
+0.5補正 PROVIA+PLフィルター
撮影地:乗鞍高原エコーライン(7月)
時には大胆に
先ほども書いたように、黄金分割ばかりに頼ると写真がマンネリ化してしまいます。時には大胆に、見せたいものを画面いっぱいに表現するのもおもしろいと思います。
これは以前、乗鞍岳に行ったときにエコーライン駐車場から日の出のときの雲海と雲を撮った物。雲海もきれいでしたが、出てきたばかりの太陽に照らされた、雲のグラデーションがとても印象的でした。


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極意!!
奥行きを出す
景色を、近景、中景、遠景の3つに分け、そのどれもが写真に収まるようなポジションをあちこち歩いて探してみましょう。写真に奥行きが出て、迫力が増します。
遠くの山を撮影するなら、ほとんど画面全体にピントが合いますね。この場合は山を大きく取り入れて強調させる位置に持ってくることが必要で、手前に木などの脇役を入れて、遠景は雲や遠くの山並み・中景は山・近景は木、というように遠近感を出せば、雄大さが表現できそうですね。近くの被写体を撮るなら、その被写体に近寄ってピントを合わせ、手前や遠くの景色をぼかす方法もあります。
他にもいろいろ表現の方法がありますが、結論としてレンズ絞りとボケ具合を把握して被写界深度をうまく活用すること、見る人の視線を手前から奥へと誘導する構図にすること・・の2点が奥行きを出すポイントだと言えます。ここは撮影する人のセンスが現れる重要なポイントのひとつだと思います。

余分なものは極力写さない!

主題(見せたい被写体)を強調して、主役と脇役をはっきりとさせることがとても大事な要素です。
たとえば山の雄姿が見事だと感動して撮影するとき、空が画面の半分ほども入っていると、見る人には主題が山なのか空なのかハッキリしません。こういう時、その写真を見た人からは「空も山も綺麗ですね〜」という多少おべんちゃら的な?感想が返ってくることでしょう。・・実は僕もよくこういうご感想をいただくことがあります・・。(^_^;)これはその山の雄姿を見た感動が写真を見てくれる人に伝わっていないわけで、単に「ただの綺麗な写真」で終わってしまっている証拠なのではないでしょうか。
そこで山の雄姿を見てもらいたい!という気持ちをもっとストレートに表現してみましょう。先ほど述べた奥行きを出すポイントを実行し、さらに余計なものは極力省いてフレーミングすればいいのです。
主題は撮る人の主張であり、見る人に何よりも伝えたい気持ちなのです。あれもこれも入れてみよう・・と考えず、ぜひぜひその伝えたい気持ちを素直に表すべきです!まずは見せたいもの以外はなるべく写らないように、もしくは見せたい被写体にもっと近づいて撮影するように心がければ主題がはっきりして、見る人に自分の感動をもっともっと伝えられる写真ができることでしょう。
え?心に飛び込んできた風景が山も空もどちらも綺麗?どっちも感動したからどっちも入れたい?・・なら、山の写真と空の写真、2枚撮ればいいじゃないですか〜。山に感動した自分と、空に感動した自分の二人を見てもらうほうが、より強く感動を伝えられると僕は思います。
欲張りはダメですよ〜。(^・^)


多分割測光 補正なし
朝の爽やかな空気感が強調された
撮影地:護摩壇山付近(5月)
多分割測光 −0.3補正
光芒と木々の輪郭が強調された
撮影地:護摩壇山付近(5月)
多分割測光 補正なし
雲の凹凸が強調され力強い感じ
撮影地:美ヶ原(7月)
多分割測光 +0.5補正
夏の高原の爽やかさが強調される
撮影地:美ヶ原(7月)
中央重点測光 −0.3補正
紅葉の赤が強調され鮮やかな感じ
撮影地:高野山(10月)
中央重点測光 補正なし
苔の色が明るく軽い感じ
撮影地:高野山(10月)
露出補正と適正露出
写真は光との対話だと僕は思うと先ほど光加減の項で述べましたが、光の取り入れ方で見せたいものを強調させることも写真撮影の核心の高度なテクニックだと思います。測光方式の変更、測光場所の変更、露出補正、フレーミングでありとあらゆる明るさにすることができ、数枚撮った写真の中から見せたいものが強調された適正な露出を探し出すのです。
それではその適正な露出とはどのようなものでしょう。レクチャ本などに明るめ、適正、暗め・・などと書かれている「適正」という言葉に注目してみます。
適正と言葉でいうと、ちょうどいいというイメージが沸いてきます。しかしこの適正の基準とは何なのでしょう?その前にまずこの適正とはいったい誰が決めているのでしょう?レクチャ本では本ごとにも、あるいはシーンごとにも適正の明るさが違うように感じますし、カメラマンによって書いていることも違えば切り取る風景のセンスもまったく違います。
本ごとに違う、カメラマンごとに違う適正露出の基準はその本を書いた人の頭の中に描いた感覚で決めているのでしょうね。・・ということは、写真を撮影するにあたって、この被写体はこんな明るさでないといけない、こういう状況ではこの明るさでないといけない・・などという基準はないということです。

適正露出は個性の反映
要するにその人の感性で適正露出は変わるということなのです。もっとストレートに言うと、適正露出なんて言葉は要らないのかもしれません。そんなものに捕われていては風景写真の世界では発展性がありませんし、もしも基準なんてものがあったなら、誰もが同じような写真を撮ることになり個性のない写真ばかりになってしまいそうです。
撮る人がその明るさを気に入ればそれが適正、ちょうどいいのだと思います。ワンシーンをブラケットで3通りの明るさで撮って、3つとも気に入ればその3つどれもが適正露出なのです。
例を挙げると左に掲載したの3つのシーンでは、僕の適正露出は左側の写真なのです。1枚目は杉林の光芒が綺麗なシーンですが、僕の感じたのは朝の空気の爽快感でした。2枚目は夏の高原で昼寝して見上げた空に浮かぶいろんな形の雲が面白かったし、3枚目は緑の苔の絨毯に散りばめられた紅葉の赤が鮮烈に目に飛び込んできたシーンだったのです。明るさは本当に微妙な違いですが、左の明るさが頭に描いたイメージに近いのです。右の写真の方がいいんじゃない?・・というご意見もあることでしょうが、これは僕が自分で選んだ「僕の適正露出」なのです。(^^ゞ
主題と、見たときの感動を貫き自信を持って自分の伝えたい物が強調された、あなたの頭の中に描いたイメージに限りなく近い明るさの写真を選んでください。それがあなたの個性を反映させている「あなたの適正露出」なのです。

飽くなき探求心
そうしてうまく「あなたの適正露出」を写し出すことができたとします。しかし、主題や伝えたいことが見る人に伝わらないのならそれは本末転倒で、ただのひとりよがりに過ぎないのです。そういうときは見る人の感想に耳を傾け、より相手に伝わりやすい露出やフレーミングなどの方法を見出す努力も必要不可欠です。どうしてそういう感想をもらう結果になってしまうのか、どうしたらもっとイメージに近い写真に仕上げることが出来るんだろう、そのとき見た風景の感動をどうすれば表現できるのか・・飽くなき探求心を持って次の撮影に挑みましょう。探求心がなくなってしまっては、それ以上のレベルアップは望めませんし、写真撮影はすでに楽しくは感じないようになっているのかも知れません。このページをご覧の皆さんは風景写真を今よりもっと綺麗に撮りたい!とお思いの方々でしょうから、探求心はすでに持ち合わせているはずですよ〜。


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もっと大切な事
・・・以上、僕の自己満足的風景写真のちょっとしたコツでした。

もっと大切なこと
ここに書いたようなことは、どの本にも載っているような、練習すれば誰にでもできる技術です。しかしもっと大切なのは、「もっともっときれいな写真を撮りたい!」、「ここ、きれい!」という、本を見ても載っていないような、「純粋な気持ちを持ち続ける情熱と感性」だと僕は思います。まずは自分が楽しくなくっちゃ!
そうして楽しく撮影した写真は見る人にその楽しい気持ちがきっと伝わることでしょう。

もっともっと大切なこと
しかし楽しい風景写真撮影をするためには、道具やテクニックよりも必要なものがあります。撮影をする場である大自然やそこに集うモラルある人たちへの敬意と心配りです。自然溢れる山で見る風景、高山植物は、平地で見るそれよりもいっそうの感動を与えてくれます。これを撮影しないのはもったいないことこの上ないと僕は思います。もっといい景色を見てみたい、撮ってみたいという気持ちは僕にもあるし、皆さんも同じでしょう。風景写真を撮るカメラマンはそれくらいの好奇心、探究心がないと、いい風景は撮れないのは確かです。が、しかし、それは登山道の中だけにとどめておきましょう。登山道を離れるという事はもしかすると貴重な植物や動物の巣などを破壊することになるかもしれないのです。
人間は大自然の中において、風景写真撮影という素晴らしい趣味をさせてもらっている立場なのです。自然に対する敬意と心配りを忘れては、どんなに腕が良くなってもいい写真が撮れるとは僕は思いませんし、少々辛らつかもしれませんが、そんな心構えで撮った写真がコンテストに入賞しても「私は自然破壊をしました」という証拠でしかないのです。しかもそのとき撮った写真を見るたびにその人はひどい自己嫌悪に陥ることでしょう。自分が撮った写真を見て、感動どころか後悔ばかりが思い浮かんでくるなんて悲しすぎますよね。
登山道を離れて撮る、立ち入り禁止区域で撮影するなどといった自分勝手な行動で迷惑をしているのは他人だけではなく、自然そのもの、そして実は何年後かにその地を訪れ撮影しようとする自分自身なのです。
カメラに収めたくなるようなそのきれいな景色を、10年、100年とずっと維持できるように、登山道は踏み外さないでください。それからもうひとつ、登山道はみんなの道です。三脚での撮影は、通っていく人たちの迷惑にならないよう注意しましょう。

僕もがんばってもっともっといい写真を撮れるようになりたいと、ただいま勉強中です。。。
皆さんもがんばって!心に響くいい写真を期待してますよ〜。(^o^)/~~~

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