極意!!
奥行きを出す
景色を、近景、中景、遠景の3つに分け、そのどれもが写真に収まるようなポジションをあちこち歩いて探してみましょう。写真に奥行きが出て、迫力が増します。
遠くの山を撮影するなら、ほとんど画面全体にピントが合いますね。この場合は山を大きく取り入れて強調させる位置に持ってくることが必要で、手前に木などの脇役を入れて、遠景は雲や遠くの山並み・中景は山・近景は木、というように遠近感を出せば、雄大さが表現できそうですね。近くの被写体を撮るなら、その被写体に近寄ってピントを合わせ、手前や遠くの景色をぼかす方法もあります。
他にもいろいろ表現の方法がありますが、結論としてレンズ絞りとボケ具合を把握して被写界深度をうまく活用すること、見る人の視線を手前から奥へと誘導する構図にすること・・の2点が奥行きを出すポイントだと言えます。ここは撮影する人のセンスが現れる重要なポイントのひとつだと思います。

余分なものは極力写さない!

主題(見せたい被写体)を強調して、主役と脇役をはっきりとさせることがとても大事な要素です。
たとえば山の雄姿が見事だと感動して撮影するとき、空が画面の半分ほども入っていると、見る人には主題が山なのか空なのかハッキリしません。こういう時、その写真を見た人からは「空も山も綺麗ですね〜」という多少おべんちゃら的な?感想が返ってくることでしょう。・・実は僕もよくこういうご感想をいただくことがあります・・。(^_^;)これはその山の雄姿を見た感動が写真を見てくれる人に伝わっていないわけで、単に「ただの綺麗な写真」で終わってしまっている証拠なのではないでしょうか。
そこで山の雄姿を見てもらいたい!という気持ちをもっとストレートに表現してみましょう。先ほど述べた奥行きを出すポイントを実行し、さらに余計なものは極力省いてフレーミングすればいいのです。
主題は撮る人の主張であり、見る人に何よりも伝えたい気持ちなのです。あれもこれも入れてみよう・・と考えず、ぜひぜひその伝えたい気持ちを素直に表すべきです!まずは見せたいもの以外はなるべく写らないように、もしくは見せたい被写体にもっと近づいて撮影するように心がければ主題がはっきりして、見る人に自分の感動をもっともっと伝えられる写真ができることでしょう。
え?心に飛び込んできた風景が山も空もどちらも綺麗?どっちも感動したからどっちも入れたい?・・なら、山の写真と空の写真、2枚撮ればいいじゃないですか〜。山に感動した自分と、空に感動した自分の二人を見てもらうほうが、より強く感動を伝えられると僕は思います。
欲張りはダメですよ〜。(^・^)


多分割測光 補正なし
朝の爽やかな空気感が強調された
撮影地:護摩壇山付近(5月)
多分割測光 −0.3補正
光芒と木々の輪郭が強調された
撮影地:護摩壇山付近(5月)
多分割測光 補正なし
雲の凹凸が強調され力強い感じ
撮影地:美ヶ原(7月)
多分割測光 +0.5補正
夏の高原の爽やかさが強調される
撮影地:美ヶ原(7月)
中央重点測光 −0.3補正
紅葉の赤が強調され鮮やかな感じ
撮影地:高野山(10月)
中央重点測光 補正なし
苔の色が明るく軽い感じ
撮影地:高野山(10月)
露出補正と適正露出
写真は光との対話だと僕は思うと先ほど光加減の項で述べましたが、光の取り入れ方で見せたいものを強調させることも写真撮影の核心の高度なテクニックだと思います。測光方式の変更、測光場所の変更、露出補正、フレーミングでありとあらゆる明るさにすることができ、数枚撮った写真の中から見せたいものが強調された適正な露出を探し出すのです。
それではその適正な露出とはどのようなものでしょう。レクチャ本などに明るめ、適正、暗め・・などと書かれている「適正」という言葉に注目してみます。
適正と言葉でいうと、ちょうどいいというイメージが沸いてきます。しかしこの適正の基準とは何なのでしょう?その前にまずこの適正とはいったい誰が決めているのでしょう?レクチャ本では本ごとにも、あるいはシーンごとにも適正の明るさが違うように感じますし、カメラマンによって書いていることも違えば切り取る風景のセンスもまったく違います。
本ごとに違う、カメラマンごとに違う適正露出の基準はその本を書いた人の頭の中に描いた感覚で決めているのでしょうね。・・ということは、写真を撮影するにあたって、この被写体はこんな明るさでないといけない、こういう状況ではこの明るさでないといけない・・などという基準はないということです。

適正露出は個性の反映
要するにその人の感性で適正露出は変わるということなのです。もっとストレートに言うと、適正露出なんて言葉は要らないのかもしれません。そんなものに捕われていては風景写真の世界では発展性がありませんし、もしも基準なんてものがあったなら、誰もが同じような写真を撮ることになり個性のない写真ばかりになってしまいそうです。
撮る人がその明るさを気に入ればそれが適正、ちょうどいいのだと思います。ワンシーンをブラケットで3通りの明るさで撮って、3つとも気に入ればその3つどれもが適正露出なのです。
例を挙げると左に掲載したの3つのシーンでは、僕の適正露出は左側の写真なのです。1枚目は杉林の光芒が綺麗なシーンですが、僕の感じたのは朝の空気の爽快感でした。2枚目は夏の高原で昼寝して見上げた空に浮かぶいろんな形の雲が面白かったし、3枚目は緑の苔の絨毯に散りばめられた紅葉の赤が鮮烈に目に飛び込んできたシーンだったのです。明るさは本当に微妙な違いですが、左の明るさが頭に描いたイメージに近いのです。右の写真の方がいいんじゃない?・・というご意見もあることでしょうが、これは僕が自分で選んだ「僕の適正露出」なのです。(^^ゞ
主題と、見たときの感動を貫き自信を持って自分の伝えたい物が強調された、あなたの頭の中に描いたイメージに限りなく近い明るさの写真を選んでください。それがあなたの個性を反映させている「あなたの適正露出」なのです。

飽くなき探求心
そうしてうまく「あなたの適正露出」を写し出すことができたとします。しかし、主題や伝えたいことが見る人に伝わらないのならそれは本末転倒で、ただのひとりよがりに過ぎないのです。そういうときは見る人の感想に耳を傾け、より相手に伝わりやすい露出やフレーミングなどの方法を見出す努力も必要不可欠です。どうしてそういう感想をもらう結果になってしまうのか、どうしたらもっとイメージに近い写真に仕上げることが出来るんだろう、そのとき見た風景の感動をどうすれば表現できるのか・・飽くなき探求心を持って次の撮影に挑みましょう。探求心がなくなってしまっては、それ以上のレベルアップは望めませんし、写真撮影はすでに楽しくは感じないようになっているのかも知れません。このページをご覧の皆さんは風景写真を今よりもっと綺麗に撮りたい!とお思いの方々でしょうから、探求心はすでに持ち合わせているはずですよ〜。


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