光加減
スポット光は
メインの被写体を
浮かび上がらせる
撮影地:大台ケ原
感じたままを撮るのは難しい
浮き上がらせたい、あるいは強調させたい被写体を色彩的・視覚的に引き立たせるポイントは、この光加減にあると言えます。しかし、見たままあるいは感じたままをカメラで撮るということはとても難しいことなのです。なぜ難しいか、それはカメラの露出計が勝手にフィルムに写す明るさを決定してしまうからなのです。どういう場合に暗くなり、どういう場合に明るく写るか、まずはこの露出計のクセを覚えないといけません。

ポジフィルムとネガフィルム
そこでまずはポジフィルム(リバーサルフィルム)のご使用をお薦めします。
ネガフィルムは再現できる明るさの幅が広く、プリントする時の写真店での操作で明るくも暗くも出来ます。ですから露出にはあまりシビアにならなくても大丈夫なのです。しかし、露出の決定がカメラ任せで簡単だということは、詰まるところ写真屋さんに頼まないと自分の描いたイメージ通りの明るさにはならないということ。でも自分の映像イメージを人に言葉で伝えることは、本当に難しいことです。こういったことから、ネガフィルムは任意に表現できる幅が狭いフィルムであるともいえると思います。
ポジフィルムはネガよりも明るさにはとてもシビアで、ちょっとの露出差で色鮮やかさや明るさが違って写ります。一眼レフカメラやコンパクトカメラでポジフィルム使用、あるいはデジタルカメラ、いずれにしても露出補正機能の付いたカメラであれば、測光方式を変え、測光する場所を変え、露出補正値を変え・・撮影時にほんの少しの露出操作をすることで、任意に様々な表現が可能になります。

まだ日の当たらない時間の谷間
景色はコントラスト低く青く写る
撮影地:上高地(9月)
絞りの羽の数と絞り値で
太陽の光芒の数が変化する
撮影地:鷲ヶ峰コスモスパーク
木漏れ日をボカすと
レンズの絞りの形のボケになり
焦点距離によって大きさが変わる
撮影地:美里町(3月)
昼間の順光はPLの使用で
被写体の彩度が高くなって
空は色鮮やかな青に写る
撮影地:高見山(12月)
太陽の光
風景写真の光加減は太陽の向きによって左右されます。
完全逆光で撮る場合、ハレ切りといって、太陽光が直接入り込まないようにしないと全体的にボーっとした写真になってしまうこともあります。しかし、ハレーションはうまく逆手に撮る事で、作品にワンポイントをつけることも出来ますので面白いです。
昼間の順光は被写体の色を忠実に見せてくれますが、全体的に影などのメリハリがなく、のっぺらとした写真に仕上がってしまいます。そういうときは、CPL(円偏光)フィルターで水面や大気の反射を抑えると、さらに力強く色鮮やかな写真にできることもあります。CPLフィルターは回転させることで被写体の反射光や大気中の乱光を除去してくれるフィルターですが、被写体の色鮮やかさにもとても影響しますので風景写真撮影には必需品と言っても過言ではありません。金属の反射は取ることが出来ません。また回転具合や被写体への角度によっても効果の度合いが変わりますので、実際に調整して慣れていってください。ただし効かせ過ぎはギンギンにど派手で不自然な色合いになってしまうことが多いので注意です。
スポット光はとてもドラマチックに写ります。少しのマイナス補正と併用し、バックを暗くすれば、くっきりと被写体を浮かびあがらせてくれます。
木漏れ日はよく見る「玉ボケ」を作りやすい光です。撮りたい被写体に近づき、絞りを開放付近にすることでバックの木漏れ日が「玉ボケ」となってくれます。絞り羽の形になりますのでできるだけ開放で撮るようにしましょう。また、玉ボケは多すぎると画面が乱雑になりがちなので注意が必要です。

光との対話
美しい日本の風景には光が満ち溢れています。その風景を切り取る作業が風景写真撮影です。だから僕は写真撮影とは光との対話なのだと思います。
その撮影場所で自分の足で可能な限りぐるぐると歩いて、いろんなアングルからファインダーを覗いてみて、まずは素晴らしい光を見つけましょう。そして測光方式、測光する場所、露出補正、明るさ・・すべてを考慮して露出を決定する。それが風景写真を撮る時の順序です。撮る時にあなたが光に感動していなければ・・対話が成り立たなければ、たとえ構図が見事でも見る人にも感動が伝わらず、ただの「綺麗な写真」で終ってしまうことでしょう。光と対話するということはそれほど大切なことなのです。
曇っていても、雨の日でも、アングルを工夫することで光と対話することができます。どんなときでも美しい光がきっとどこかに満ち溢れているのです。まずはその天候、状況を気持ちの中に受け入れることからはじめましょう。
そうして撮った写真が、あなたの描いたイメージに近づくよういろいろと工夫してみてくださいね。
ここに書いた露出や露出補正は頭に描いたイメージの表現に深く関わってきます。後ほどまた触れてみたいと思います。

戻る
NaturePhotoCollectionへ