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さて、天体写真撮影の方法については「カメラレンズによる天体写真撮影の方法」で粗方説明しました。
しかし天体写真は暗闇で行う撮影であり、しかも野外での長時間作業、実際にやって行く上でいろいろと不便なことを感じる機会が多くなってくることと思います。しかし、そのような不便を解消してくれる道具がなかなか見つかりませんし、見つかってもちょっとした改造が必要だったりします。
ここでは天体写真撮影に便利な機能を持った、簡単に入手できる、あるいは機械オンチの僕でも(笑)簡単に改造・製作できる小物をご紹介します。


撮影時の照明
広角レンズandコンパクトデジタルカメラでのフレーミング
冬季のデジカメ電源強化
望遠鏡のピント合わせ
レリーズの自動化
撮影機材の電源一元化


カメラレンズで撮る天体写真


■撮影時の照明
ヘッドランプは暗闇では明るいほど見やすいが、こと天体写真撮影に関してはそうとはいえず、やはり赤い光が目を保護し、星を観察しやすくしてくれます。赤いフィルムを貼り付けて使っている人もいますが、いかにもちょっとスマートじゃないですね。^^;
そこでホームセンターの特売などでも安価に入手可能なLEDヘッドランプをちょこっと改造してみます。
これは先日、生石高原で撮影しているときに偶然お知り合いになったSさんから教わったスグレモノ。僕が考えた訳じゃありません。^^;

天体写真撮影用8灯LEDヘッドランプ
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/24372931.html

ホームセンターコー○ンの特売1580円で仕入れてきた3段階に明るさを変えることが出来るヘッドランプをちょこっとお手軽に電子工作することで、非常に便利な天体写真撮影用ヘッドランプになります。
使うのは半田ごてとドライバー、赤色超高輝度LED4個。
ヘッドランプを前面からこじ開けてネジを緩め、内部の基盤を取り出します。そして極性を間違わないように、もともと付いている白色LEDを赤色超高輝度LEDに取り替えるだけです。
照らす範囲は目線の範囲のみですが、思った以上に明るいので4灯も灯せば充分に作業がしやすくなると思います。残りの外側4灯は白いままで残しておいて、セッティング時や撤収時に点灯すれば明るくて便利です。
また、この赤色超高輝度LED、ひとつだけ点灯するだけでも撮影中に必要充分な結構な明るさが得られますので、一つめのスイッチを押したときに点灯するLEDをひとつ取り去っておけば、電池の消耗を遅くすることができます。
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■広角レンズandコンパクトデジタルカメラでのフレーミング
夜空を広範囲に撮るのに便利な広角レンズ、しかしファインダーから見えるのは暗闇だけ・・、明るい星ですら小さな点にしか見えません。また、コンパクトデジタルカメラで長時間露光を楽しんでいる方もいらっしゃることでしょう。手軽で便利ですが、ファインダーが小さく、どこを撮っているのかまったく判りません。
そんな広角レンズやコンパクトデジタルカメラで撮影するとき、フレーミングに便利な小物です。

ホットシュー取り付け用スポットファインダー
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/17925478.html

このスポットファインダー、ホットシューに取り付けできるように改造されたものが市販されています。ビクセンなどでも販売されていますが、覗くともちろんながら等倍。スポットレーザー光が見え、中心が判ります。
このレーザー光、覗く角度を変えてもきちんとフレーミングの中心にあるように見えるんですね。これならファインダーとして使用できそうです。
テレスコープセンターアイベルにて購入。松本さんにはいろいろとお世話になりました。
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■冬季のデジカメ電源強化
天体写真撮影もいよいよデジタル化時代がやってきました。撮ってすぐに結果を確認できるメリットはとても大きいものです。
でもデジタルカメラは電池を食います。冬季ともなれば寒さで電源がすぐにダウンしてしまうので電池を温めながら撮影したいところですが、デジタルカメラのCCDは熱を帯びてくるとノイズを発生させるので、ボディを温めることは著しい画像劣化に繋がります。
そこでボディから電源を離して、電源のみを温めることができないだろうか・・と、*istD専用の外部電源を製作すればいいかと思いましたが、僕には電子工作の知識も無く・・(笑)ネット仲間のクモハ169-1さんに僕の思っていたものよりさらに便利なものを製作していただきました。

冬のデジタル天体撮影秘密兵器・istD専用外部電源レギュレーター
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/15436558.html

この*istD専用外部電源レギュレーターは単三ニッケル水素電池8本を使用し、*istDのACアダプター用ジャックに繋いで使用します。電池ボックスを単体で温めることで電源の強化を図るわけです。

デジタルカメラは主に電池を電源としていますが、外部電源の使用に対応している機種が少なくありません。一眼レフカメラなら全機種において、ACアダプターが使用可能でしょう。ならば、ACアダプターと同じピンプラグで同じ電圧供給をキープできれば、電池をボディに入れなくても作動すると言うことです。
クモハ169-1さん調べによりますと、*istDのACアダプタージャックは6.5Vの電圧で正常作動しているとのこと。単三電池ですと1本1.5Vですから5本でそれを上回ることが出来ますが、5本と言うのも中途半端ですし、アルカリ単三電池が使い捨てになってしまうのがもったいない。よって充電して繰り返し使用できて、比較的低温にも強いニッケル水素1.2Vを8本使用し、6.5Vに電圧を下げるレギュレーターを製作されました。
ニッケル水素8本を温めながら使用すれば約4時間の撮影ができ、レギュレーターのつまみを回して出力を調整すれば12Vの電源でも使用可能のスグレモノです。
詳しくはこちらを。
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■望遠鏡のピント合わせ
望遠鏡のピント合わせ、これほど難しいものはありません・・。
アイピースで覗いているだけならともかく、カメラのファインダーを通しての星の明かりは非常に暗く、どこを撮っているのかを確認するだけでもやっと。そんな状況で小さく小さく見える星のピントなど確認できるはずも無く・・また、市販されているピントチェッカーはどれも高額なもので、機材を揃えることにヒイコラ言ってるような状態でピントチェッカーにまで¥をかけるのはかなりの負担になります。
そこで無い知恵を絞ってこんなものを作ってみました。

ブタの鼻ピントチェッカー
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/23223178.html

手元にあった古いマウスパッドをカットして自作。望遠鏡の対物側にはめ込んで使用します。ファインダーには二重像が出ますので、像を重ね合わせるようにしてピント合わせをします。

レンズのボケが絞りの形になるのは撮影していれば経験がありますよね。でも、そのボケもピント位置ではきちんと像を結びます。
このブタの鼻はこれを応用したもので、二つの穴が光路を分割しますのでボケは二つでき、ピント位置から遠いほど二つのボケの像は大きくなり、距離が離れます。その分割された光路の交点が被写体のピント位置だということになりますので、ピントが合うと二つのボケが重なり、シャープな像が結ばれるということです。
目視でのピント合わせにおいては、ボケた像の大きさで判断するピントチェック方式よりも、ボケの距離で判断するこの方式のほうが、より高精度に合焦することが出来ると思います。

チープな外観ながら非常に高精度にピントを合わせることが出来ますが、これを使うとファインダーがさらに暗くなりますので明るい星で作業する必要があります。さらにピントリングの目盛を見ながらデジタルカメラで単時間撮影して確認を繰り返せばゾクゾクするようなシャープな像を得られますよ。
∞にしてもピントの合わないオートフォーカスレンズにも応用できますので、サイズを合わせて自作してみてください。
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■レリーズの自動化
撮影時は露光時間をキッチンタイマーやストップウォッチなどで測り、その都度シャッターを切る作業を強いられましたが、現在は強力な武器があります。Canonのタイマーリモートコントローラ。
これにインターバルの時間や露光時間、撮影枚数を入力すればあとは自動で撮ってくれるようになります。
しかしKissDNや*istDに接続するにはプラグを交換しないといけません。

※Blogに改造方法を紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/50117879.html

KissD、KissDN、PENTAXのデジタル一眼レフは同じミニミニステレオプラグを使用していますので互換性があります。
しかしミニミニステレオプラグもタイマーリモートコントローラに接続するための3線入りケーブルもなかなか見つかりませんので、三ツ星で改造用のKiss-ジャックアダプターケーブル(650円+送料945円)を入手。ケーブルの長さは約1m。

タイマーリモートコントローラは背面の3本のネジを外すと開けることができ、基盤にケーブルを半田付けすれば簡単に交換可能ですが、赤道儀で使用するとなると長めのケーブルの方が使いやすそうですので、元々付いている特殊なプラグを切り取り、そこから延長ケーブルとして接続することにしました。元々のケーブルは80cmほどですので、三ツ星のケーブルを接続すると約1.8mになります。
ケーブルを途中で切ってしまうとケーブル内部には赤、白、コモンの3本が入っています。そしてケーブル同士を接続するのですが、逆に接続してしまうと、レリーズを押すといきなりシャッターが切れてしまったり、インターバルの時間が終わる5秒前に次のシャッターが切れてしまったりと誤動作が生じます。
三ツ星のケーブルと元々のケーブルは赤と白が逆になっていますので、赤と白、白と赤、コモンとコモンを接続して完成。

ケーブルを長めにすることで赤道儀から離れたところでの制御が可能となり、追尾中の赤道儀に触れてしまう心配がありません。また撮影を自動化することで、オートガイドあるいはノータッチガイドなら時間に縛られることなくのんびりと星見を楽しめるようになります。
しかし・・このタイマーコントローラ、天体写真PEOPLEのために開発されたんじゃないだろうか?と思うしかないような特異な機能を備えていますね。ありがたいお話ではあるのですが・・^^;
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■撮影機材の電源一元化
天体写真撮影機材はとかく電源に頼る部分が大きく、それぞれに別の電源を使用していると、その機材の数だけ電源も増えてしまいセッティング時や撤収時に時間がかかります。また暗い場所での撮影ですので足元が見えにくく自分や機材の転倒などの危険を増やしてしまう結果となります。
できればポータブル電源などを使用し、電源の一元化を図りたいもの。赤道儀とカメラの電源を12Vから取れるようにシガーライターコードをちょこっと改造してみましょう。

※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/24613762.html

秋月電子通商などで販売されているシガーライターケーブルとピンプラグがあればとりあえず赤道儀のケーブルは製作可能でしょう。ここで重要なのは極性を間違えないこと、壊れてしまっては本末転倒です。まずはテスターで極性を調べ、間違わないようにピンプラグを半田で繋ぎ合わせるだけ。ビクセン赤道儀用シガーライターコードが120円で製作できました。

さて、問題はカメラ側の電源コードの製作。カメラには適正な入力電圧があり、それを調べなければいけません。ACアダプターがあれば、それで調べることが出来ますが、ない場合は厄介です。このような方法で測定できるようですが・・

【PENTAX *istDの場合】
※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/15436558.html
「冬季のデジカメ電源強化」頁で取り上げたクモハ169-1さん作のレギュレーターにピンプラグ用ジャックを取り付け、12Vからシガーライターコードを用いてレギュレーターに接続し、*istDに接続して使います。レギュレーターを介した出力は6.5Vに調整。
正常作動するようになりました。

【NIKON COOLPIX5000の場合】 プラグのサイズに注意!
※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/50017560.html
COOLPIX5000での天体写真撮影はモニタでピント合わせをしますので電池消耗が早いです。通常の電源はリチウムイオンを使用しますが氷点下では電圧不足になってしいますし、バッテリーグリップを使えば単三電池を使用できますが6本も入れないといけません。リチウム単三電池を使うとなると非常に経費高。これも12Vポータブル電源から得る方が良いでしょう。

入力電圧は8.4V。*istDと併用することもあろうかと、もうひとつレギュレーターを仕入れました。
秋月電子のキットを利用すると便利です。基板その他必要な部品がセットになっていて、説明書の指示通りに半田付けするだけ。発熱も少なく許容範囲も大きいのがgood。製作・・というより簡単な組み立てです。
・・が、ひとつ問題が。COOLPIX5000のジャックに差し込むことの出来るプラグは、市販されているプラグとはちょっとサイズが違うようです。しかし、プラグの真ん中にアルミホイルを少し詰め込むことで正常動作するようになりました。
なお、後日わかったことですが、KissDNと同じ7.4Vの入力でも正常動作するようですので、バッテリーも温存でき、レギュレータも使いまわしできます。

【Canon EOS Kiss Digital Nの場合】 カプラの改造が必要
※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/50113301.html
旧KissDと比べ、KissDNのバッテリーはサイズが非常に小さく、寒冷期の撮影には少々心配が付きまといそうです。春先には一晩でバッテリー3個を消耗するというレポートをどこかで見ましたが、純正バッテリーをあと2個買わないといけませんし、氷点下ではさらに消耗しそう。ちょっとした改造で12Vポータブル電源から赤道儀と一緒に電源を得るほうが、やはりリーズナブルで効率的、賢い選択だと思います。

KissDNにはプラグを差し込むジャックがどこにも付いていませんので、純正ACアダプタに付属しているカプラと呼ばれる部品を改造して使います。カプラは単体で購入可能、いつものカメラ店で取り寄せて2000円でした。
カプラはバッテリーと同じサイズで、バッテリー室にそのまま差し込んで使用するようになっています。ACアダプタに接続するためのジャックが付いていますが、これがまた非常に特殊なサイズなので、ジャックを一般的なものに取り替えるのがベストでしょう。
カプラをこじ開けてジャックを取り外し、短いケーブルを取り付けたその先に一般的なジャックを取り付けます。
純正バッテリー入力電圧は7.4V。レギュレーターからの入力も同じ7.4Vに電圧を調整して接続します。
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カメラレンズで撮る天体写真